01.認知症検診(アミロイドPET)のご紹介
認知症とは
当センターで行ってきた高次脳機能検査(記憶力、認知力)の結果からは、40代後半になると知的能力が加齢とともに低下していくことがわかっています。この知的能力の低下が、年齢以上に著しくなると認知症となります。 当センターで高次脳機能検査を受けた一部の方を3年後に再検査したところ、3年後にはその1割で記憶力、認知力の双方が低下しており、さらにその後数年以内に、その中の3割弱の方が認知症と診断されています。
認知症は早期発見により進行を遅らせられる
認知症の根本的な治療方法は確立されていませんが、認知症をできるだけ早く見つけ出し、必要な対策や治療を行えば、認知症の進行を遅らせることができるということがわかってきました。 日本でもアルツハイマー型認知症の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせる治療薬「レカネマブ」が新たに承認され治療が始まりました。
02.検診の特徴
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認知症あるいはその前段階なのかを総合的に判断
当ドックでは、まずMRIを用い、通常の脳ドック検査にて、脳に器質的な異常(出血や梗塞など)がないかどうかチェックする一方、記憶の重要な場所である海馬(認知症ではこの海馬が萎縮してきます)の萎縮度を測定します。 次に、医学的に確立された方法である記憶力テスト(WMS-R:ウェクスラー記憶力テスト)と認知力テスト(コース立方体組み合わせテスト)を用い、記憶力・認知力に低下があるかどうか調べ、もの忘れが年齢にともなう通常のもの忘れなのか、それとも対処・治療を必要とする認知症あるいはその前段階なのかを総合的に判断します。
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アミロイドβの蓄積量を調べることで早期発見が可能。
発症の予測も可能にアミロイドβは発症の20年ほど前から徐々に蓄積し、神経細胞を脱落させアルツハイマー型認知症発症に至ります。 医療機関でアルツハイマー型認知症と診断される時はすでに脳機能が低下していることが多く、症状の進行を遅らせる薬剤を服用しても、生活の質の劇的な向上は期待できません。より早期の段階でアルツハイマー型認知症発症の可能性を判別することが重要となります。
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アミロイドβの蓄積量を画像化する
「アミロイドイメージング」アミロイドβタンパク質に集積する薬剤を用いて脳内のアミロイドβタンパク質蓄積量を画像化。アルツハイマー型認知症発症の予測を可能にする「アミロイドイメージング」。 実際にはAβに集積する薬剤を、F-18やC-11のようなPETで利用する放射性核種で標識しておき、投与された薬剤の集積部位をPETカメラで非侵襲的に検出するアミロイドPETといわれる手法となります。