認知症 一覧に戻る

認知症とは?

Index

01.認知症は脳の病気

「20歳代をピークに脳細胞は1日に10万個程度死滅する」と言われています。年をとるともの忘れが多くなり、「名前がでてこない」「何しにここへ来たのかな」等という症状がでてきますが、これは脳の老化の1つで自然現象なのです。もの忘れしていることに自分自身で気付いており、生活の支障もありません。 ところが病気による脳の萎縮や脳血管性障害で認知症になると、体験や出来事の記憶のすべてを失います。忘れていることすら、忘れてしまうのです。時間や場所、計算や常識などの認識がとれなくなってきます。このため社会生活や日常生活が困難になってきます。

02.認知症の種類

認知症は大きく分けて「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」に分けられ、この2種類で約8割を占めます。

1.アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症

脳が特有な変化を伴って、萎縮する病気。脳の神経細胞の減少、脳の萎縮、脳への老人斑・神経原線維変化の出現が特徴です。脳内にβアミロイドと呼ばれるタンパク質がたまりだすことが原因のひとつとされていて、βアミロイドが脳全体に蓄積することで健全な神経細胞を変化・脱落させて、脳の働きを低下させ、脳萎縮を進行させるといわれていますが、はっきりした原因はわかっていません。 発症と進行は緩やかで、徐々に悪化していきます。もの忘れ(記憶障害)から始まり、時間、場所、人の見当がつかなくなります(見当識障害)。

予防について

正確な原因は不明ですが、頭と身体をあまり使わず、人とのかかわりも少ないと、発症・悪化しやすいことがわかっています。趣味をもったり、人と良好なかかわりを持つことが予防・改善につながります。

2.脳血管性認知症

脳血管性認知症

高血圧や高脂血症、糖尿病などがもとで脳の動脈硬化がすすみ、脳梗塞や脳出血が起こると、脳細胞に十分な血液がいきわたらず、部分的に機能が失われてしまいます。この結果おこるのが、脳血管性認知症。脳がうまく機能しないため、麻痺などの神経障害を伴うこともあります。 記憶力は失われても、判断力はかなり残っているなど、症状に偏りのある「まだら認知症」がみられるのも特徴。

予防について

もともと高血圧や高脂血症、糖尿病などがある人は、その治療を継続し、必要に応じて、血液が固まるのを防ぐことが大切です。また、普段の食生活や生活習慣に気をつけることで、予防・改善につながります。

03.家族が気づいた認知症の症状

家族が気付いた認知症の初発症状

04.アルツハイマー型認知症について

症状の進行

アルツハイマー病の経過
初期 同じことを何度も言うなど、記憶障害などが目立ってきて仕事などが続けられなくなります。
中期 場所や時間がわからなくなる。徘徊や異常行動が始まり、自立が無理になってきます。
末期 家族の名前や顔がわからず、会話成り立たなくなります。
日常生活が困難になり、寝たきりになります。

特徴的な症状

  1. 1知的能力の低下

    健忘 もの忘れがひどくなる。
    見当識障害 日時、場所、人がわからなくなる。
    思考障害 考える力、理解する力が低下する。計算ができなくなる。
    認知障害 物事も見分け判断する力が低下する。人違いをする。
  2. 2心の症状

    夜間せん妄 夜になると興奮し言動がおかしくなる。
    不眠 夜眠れない。
    幻覚 あるはずのないものが見えたり聞こえたりする。
    妄想 ありえないことを固く信じ込む。
    抑うつ 気分が落ち込む。
  3. 3行動の障害

    徘徊 歩き回る。
    不眠 夜眠らない。
    暴力 ささいなことで怒り出して暴力をふるう。
    異食 食べられないものを口に入れてしまう。
    弄便 便をいじる。
  4. 4日常生活能力の低下

    日常生活能力の低下 食事、排泄、入浴、着替えなど、日々暮らすための基本的な動作ができなくなる。
  5. 5身体の障害

    歩行障害 ひとりで歩けなくなる。
    嚥下障害 食べ物の飲み込みが悪くなったり、むせたりする。
    膀胱直腸障害 尿や便が出にくかったり、失禁したりする。

05.認知症と間違えやすい病気

せん妄 意識障害を伴う状態で、突然発症し、1日の中でしっかりしているときとそうでないときがあるなど変動がある。多くの場合、回復可能である。脳血管障害や感染症、糖尿病の血糖値コントロールが不十分なために起こることがある。
うつ病 神経伝達物質の低下によって憂うつな気分になり、それが長期間続くとうつ病になるといわれている。不安や焦燥が強く、不眠などの症状が現れる。適切な治療を受けることで改善する。
廃用性の変化 刺激のない環境で寝たきりの状態が続くと、日付や時間の感覚が不確かになるなど、認知症に間違われやすい状態になる。

06.認知症の治療

認知症の治療・対処法は多岐に渡りますが、基本は下記の項目を症状に併せて実践します。

  1. 生活習慣の確立・保持(食事、睡眠、生活スタイルなど)
  2. 定期的運動、体力作り
  3. 趣味などを通じて他人や集団と積極的に関わりを持つ
  4. 必要に応じ、デイサービスや種々のリハビリを利用する
  5. 症状に応じた薬による治療を開始する(新薬も続々と開発されています)

「認知症チェックリスト」はこちら

07.当センターのご紹介

武田病院画像診断センター

先進のPET-CTと専門の医師による
徹底した早期発見へのアプローチ

がんの早期発見・治療に向けて、先進の技術と機能を集約させた「武田病院画像診断センター」。万が一の場合も、武田病院グループ全体でバックアップを提供しています。

特徴を見る

アルツハイマー病の経過
アルツハイマー病の経過

認知症